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『失敗しない』『後悔しない』建墓のために

「建墓」は皆 「初めての経験」

一生のうちに「家」を2軒建てる方がいても、「お墓」は2基、3基と建てる方はいません。
また、親やご先祖様が建てたお墓がある場合には、建て替えるケースを除いては、新たに建墓されることは滅多にありません。
一般的には、その家の跡継ぎでない場合には、新たに墓地を選び 墓石を建立することになります。
ですから、「お墓を建てる」ということは、ほとんどの方が「初めての経験」となります。

  • 「どこの墓地を選ぼうか?」
  • 「石材店はどこに頼む?」
  • 「石の種類はどうしようか?」
  • 「どんな形のお墓にしようか?」

『失敗しない』『後悔しない』建墓をするためには、焦らずに慎重に検討しなければなりません。
一度建てたら、簡単に建て直すことができないのが「お墓」です。
そのために、一番重要なポイントとなるのは「石材店 選び」だと言えます。

『情報』を得て、『比較』し『選ぶ』時代

ひと昔前とは違い、近年はインターネットの普及により、誰もが墓石・石材の知識はもちろんのこと、日本全国の石材店の情報も簡単に得られる時代となりました。
「地域の石材店」や「お寺・知人からの紹介」で石材店を選んでいた時代と比べると お客様自身が、多くの『情報』を得て、『比較』し『選ぶ』ことができます。

情報を得て比較し選ぶ時代

しかし、情報過多により数多い中でどれが「正しい情報なのか」、『判断』が難しくなり、 石材店との間にトラブルが起きるなど、一生に一度の大切な建墓を『失敗してしまった』『後悔している』と嘆かれる方が増えているのが近年の傾向です。
『失敗しない』『後悔しない』建墓のために、一番重要となるのは『石材店 選び』であることを念頭においた上で、お施主様そしてご家族の皆様が「納得できる建墓」をしていただくことを願います。

『失敗しない』『後悔しない』建墓のために

石材店を選ぶ際に、『これだけは注意したいこと』をご紹介します。

1.石材店選び『これだけは注意したいこと』

《下記10項目全てをクリアしている石材店は良質な石材店だと言えるでしょう》

  • 長年の経験、数多くの建立実績がある石材店ですか?
  • 「墓石」「石材の性質」「お墓の構造」について深い知識を有する石材店ですか?
  • 各宗派についての深い知識を有する石材店ですか?
  • 質問や要望に対して、丁寧に納得するまで説明をしてくれる石材店ですか?
  • 店舗を構えている石材店ですか?
  • 適正な金額を提示する石材店ですか?
  • 契約書・見積書・図面をきちんと提示してくれる石材店ですか?
  • 他社との相見積りを嫌がらない、契約を急がせない石材店ですか?
  • 建墓後の保証制度及びアフターフォローがしっかりしている石材店ですか?
  • 墓石工事を下請け業者に丸投げする石材店ではありませんか?

年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017
相談件数 1,673 1,875 1,570 1,456 1,396 551(前年同期601)

国民生活センターに寄せられるお墓の「苦情や相談」は年間1,300件を超え その数は葬儀の2倍です。これらのトラブルが「石材店選びの失敗」に起因している場合がほとんどです。

葬儀サービス
年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017
相談件数 704 730 724 764 715 273(前年同期291)

〈出所:独立行政法人国民生活センター ホームページ〉

「御先祖供養のため 良いお墓を建てたい」という消費者の気持ちを利用して、『産地偽装』『加工偽装』『施工偽装』を行い「利益を得ようとする悪質石材店」が後を絶たないという現状がわかります。

『失敗しない』『後悔しない』建墓のために

2.実際にあった『石材店とのトラブル事例』

【産地偽装】

石材産地偽装事件 <大阪府内霊園>
石材産地偽装事件 <大阪府内霊園>
新聞やテレビでも大きく取り上げられた、大阪府内で起きた石材産地偽装事件。大阪府豊中市の会社員Aさんは「早く亡くなった父親のために出来るだけのことをしてあげたい」と大阪市内の石材店に350万円を支払い、国産の大島石(愛媛県産出)で墓石を建立。建立後、墓誌のぐらつきや花立てが外れるなどの不具合が続いたことで、施工不良に不信感を抱き、?日本石材産業協会に調査を依頼した結果、大島石(国産)ではなく韓国産の石材であることが判明。その後、Aさん夫妻は被害届を提出。大阪府警の鑑定結果も韓国産の石材であることが判明し、不正競争防止法違反(産地偽装)により墓石を販売した石材店を捜索。石材店に全額返済の約束をとりつけ示談が成立したが、現在の墓石を撤去し新たに建墓する予定であるAさんは「お墓を使ってだますような行為は今でも許せない」と石材店への憤る気持ちを語った。

石材産地偽装発覚 <神奈川県寺院>
東京都在住のBさんは長年連れ添った亡き夫のために、お寺から紹介された石材店に1200万円を支払い、国産の本小松石(神奈川県真鶴町)墓石を神奈川県内の寺院に建立。
建立後20年が経過し、本小松石専門の石材店に墓石クリーニングを依頼した際、国産の本小松石ではなく中国産の安価な石材であることが判明。プロが見れば一目で判別がつくが、色合いや石目がやや似ているため、一般消費者には判別しにくい。
建立した石材店は廃業しているため連絡もとれない。
「今後の長い付き合いを考えると、紹介してくれたお寺へ言及することもためらってしまう。
騙されていたことに20年以上も気付かず、この怒りをどこに向けたらよいのか。
お墓参りに行くたびに悔しい気持ちがこみ上げてくる。」と複雑な胸の内を語った。
泣き寝入りせざるを得なかったケースである。

《ポイント》
食品や衣類、車など日常生活の中で馴染みがあるものは、情報を得て 比較する場面も多いため消費者が知識を得る頻度も高く、比較的判断しやすいと言えます。
しかし墓石を建てるということは、ほとんどの方は「初めて」のことです。
石材についての知識も浅く、どうしても石材店の言うことを頼りに判断することになるでしょう。
石材は、日常生活の中であまり馴染みがないため、目にすることも少なく、一般の方が見極めることは非常に難しいことです。
上記のケースのような悪徳石材店が存在することも事実です。
多額の代金を支払い、墓石建立後に何かのきっかけで 何年も経過してから実態が明らかになるケースも多々あります。 
墓石に使用される石材は、国産の石では産地で採掘されたことを証明する『産地証明書』の提示を求めましょう。
また、外国産の石を使用した場合も品質保証書を発行してもらいましょう。
「産地証明書」や「品質保証書」には 石材の名称が明記されています。
しかし、保証期間を過ぎると、問題解決が困難となる場合が多くなります。
また、保証期間内であっても、石材店と連絡がとれないなど保証されず泣き寝入りをせざるを得なかったケースもあります。
前述のような悪徳な石材店は、長年にわたり営業していることは少ないからです。
このような被害に遭わないためにも、その石材店の営業年数や建立実績をはじめ、保証制度にいたるまで、良心的な石材店であるかをしっかりと見極めて選ばなければなりません。

【加工地偽装】

「国産の石で、日本国内で加工した墓石」に強いこだわりを持っていたCさんは、国産の御影石で墓石を建立。
工事当日に現地に立ち合った際、石材を梱包していたものに外国語の文字が記載されたシールが貼ってあったことを不審に思い、後日 石材店の担当者に確認すると、海外の工場で加工製作した墓石であることが判明。
日本国内の工場で加工製作をする旨の説明を受けて契約したCさんに、担当者は『国産の御影石を使用しているのは間違えないし、加工が海外だからといって品質に変わりはありません!』と悪びれた様子もなく対応した。
『私は、たまたま工事をする日に立ち合ったから わかったが、いい加減な対応に本当に腹立たしい思いでいっぱいですよ。
既に墓石も建っているから、今さら 建て直してもらおうとは思っていないが、墓参りに行き 墓石を見るたびに悔しい気持ちが込み上げてくる。もっと気持ちの良い建墓をしたかった・・・』と残念な気持ちを語った。

《ポイント》
中国など海外の工場で加工した国産の石を、国内の墓地に据付工事をすることは珍しくありません。
そのことをお客様が納得した上で、契約をしていれば問題はないでしょう。
しかし、Cさんのように「日本国内での加工」にこだわりを持ち、希望しているにも関わらず、海外で加工するという事実を告げず契約を締結したことは非常に悪質であります。
日本国内の工場で加工する場合と、海外の工場で加工する場合とでは、人件費の違いから加工代金が海外加工の方が安くすみます。日本国内の墓石職人の減少とあわせて、利益面を重視し海外工場で加工をする石材店が増える傾向があります。
日本国内での加工製作を希望する場合は、国内工場をもつ石材店に依頼するか、または契約書明記してもらうようにしましょう。
口頭での約束は、後々トラブルを起こす元になります。

【施工トラブル】

<地震で竿石がずれた>
近隣で震度4強の地震が発生し、数日後 お墓を確認するためにお寺へ出向くと、墓石の竿石がずれてしまっていた。
4年半ほど前に、新聞の折り込みにチラシに入っていた石材店に墓石の建立を依頼。
とても安い金額で建立できたが、工事はとても粗末で 大きな地震に対応できる施工はされていなかった。
竿石は、女性のDさん(50代)が手で押しただけでも簡単に動いた。
耐震補強は一切していないことに驚いたDさんは、墓石を建立した石材店とは別の石材店に点検と修理を依頼。
積み上げた石と石の周囲に、目地を施しただけの施工。
また、外柵の裏側の一部が崩れていることもわかった。
将来的なことも考えて、墓石は全て外して 大地震にも耐えられるように免震施工をしてもらった。
崩れていた外柵も修理をしたが、大掛かりな工事となってしまった。
『救いなのは、墓石が欠けたり、割れたりしなかったこと。
安い金額で建てられたけど、結局は修理代金を払うことになり、もっと良く調べてから石材店を選べばよかった。最初から信頼できる石材店に頼むべきだった。
外から見ただけでは全くわからなかったが、こんな手抜き工事をしていたなんて本当に腹立たしい気持ち。』と後悔の思いを語った。

<地震で墓石が倒壊した>
東日本大震災の、震度5強の地震により墓石が倒れて完全に倒壊してしまった。
地盤が緩い土地ではあるが、周囲の墓石もほとんど壊滅状態だった。
大切な先祖が眠っているお墓だから、すぐにでも直してほしいのが本音だったが修理できる状態ではなく、震災から3年以上経ってからようやく新しい墓石を建てる事になった。
『先々代が建立した古い墓石だったので、地震対策などはしていない古い墓石でした。
今回は、基礎工事もベタ基礎でしっかりとした耐震工事をしてもらい、墓石は最新の免震施工でかなりガンコなつくりでつくってもらえたので、やっと先祖に安心して眠ってもらえますよ』とEさんはほっとした表情で語った。

《ポイント》
日本は地震大国です。長年、建立し続ける中で、大きな地震がくることも大いに考えられます。
現代では、墓石の地震対策技術も大きく進歩し、震度7の地震にも対応できるほどの施工法もあります。
墓石は、親から子、子から親へと代々受け継がれてゆくものであります。
「安かろう 悪かろう」では困ります。
金額が安いということには必ず理由があります。
なぜ、他と比べて安いのか、その理由もしっかりと見極めたうえで石材店を選ばなければなりません。

<建立後6年で墓石がヒビ割れしてきた>
Fさんは、『七回忌法要を目前としたある日、息子とお墓の掃除に行くと、墓石の裏側の石に縦にヒビが入っていることを発見。
すぐに、建立した石材店に連絡をすると、すでに引き渡し後なので対応はできないとの返答。
この石材店は保証書を発行していなかった。
Fさんは、弁護士に依頼。現在も石材店の顧問弁護士との話し合いで係争中。
引き渡しの際には、ヒビは入っていなかったが、外部から圧力もなく、正常な状態にありヒビが入ってしまったことと、石材店の誠意のない対応に納得がいかない。
9寸角の和型墓石で当時450万円の費用を支払った。』

《ポイント》
通常は、外部からの圧力がなく、墓石にヒビが入ることはありません。もともと入っていた小さなヒビが経年することでヒビ割れてくることが考えられます。
石材店が、原石を厳選し、加工作業が完了した時点でしっかりと点検することで 通常は防げるトラブルであると言えます。
墓石を引き渡しの際には、お施主様自身がしっかりと確認をすることももちろん大切ではありますが、建立後の保証がある石材店を選ぶことも言うまでもありません。
経験が長い実績のある石材店は、長年にわたりお客様の信頼を得続けているといえますので、このようなトラブルは滅多にあることではありません。

【契約・金銭トラブル】

<急かされて契約してしまった>
〇月〇日迄に、契約すれば〇〇%割引をすると言われ、その場で契約書にサインをしてしまった。
建立を急いでいたわけでもないので、家族ともじっくりと相談して、もっと良く考えてから契約するべきだったと後悔している。

<連絡がつながらない、メールの返信もない>
墓石を建立してから、5年経った頃に不具合が発生したため、修理を頼もうと石材店に電話を入れたが電話番号は使用されていない、メールを送信するが返信もない。
後日、この石材店は すでに閉業していることがわかった。

<約束した納期までに墓石が完成しない>
『亡き父の一周忌法要に納骨する予定で国産(本小松石)墓石の建立を依頼していた石材店から「中国の工場で加工をしているが、納期に間に合わない」との連絡。
お寺や親戚などに予定していてもらっていたことと、その他の手配も行っていたことから日時を変更するわけにもいかず非常に困惑をした。
契約破棄後、自社工場を持つ石材店に相談して、国産(本小松石)墓石の建立を依頼。
予定していた一周忌に無事に父の納骨を済ませることができた。

<見積金額以上の金額を請求された>
契約後に、変更したい箇所があり追加金額を口頭で聞いていたが、聞いていた金額以上の請求をされた。
石材店の担当者との間で「言った、言わない」の繰り返しとなり、結局 請求された金額を支払うこととなった。
今 思い出しても納得がいかず、追加変更した時点で、なぜ新たに見積書を発行しなかったのかという疑問も残った。

【対応トラブル】

<こちらの話を聞いてもらえない>
お墓を建てるのは、初めてだったので わからないことも多く質問をしたが、良い顔はされずに対応も感じが悪い。
一方的に金額のことばかりを説明されて、こちらの話は聞いてもらえなかった。
もっと親身に相談にのってもらえる石材店に頼めば良かったと後悔している。

<営業マンに墓石や石材の知識がない>
石材店の人は、皆 石のことは詳しいのだと思っていたが、石の材質や特徴を質問しても、営業マンに知識がなく とても頼りなく感じた。
墓石は高額なので、やはり知識や経験が豊富な石材店に頼みたいと思い、建立実績が多い信頼できそうな石材店に依頼することを決めた。

困った顔

<現地での約束時間に大幅に遅刻>
見積りを頼み、霊園で待ち合わせをしたが、約束の時刻より30分以上も遅刻して担当者が待ち合わせの場所に来た。
約束の時間を守れないようないい加減な石材店と大切な墓づくりはできないと判断し、他の石材店に依頼することを決めた。

『失敗しない』『後悔しない』建墓のために

3.『良心的・良質な石材店』の見分け方

『長年の実績』と『数多くの建立実績』がある石材店である
長年にわたり、その地で営業しているということは、お施主様の信頼を長年 得続けている証であるといえます。
また、数多くの施工実績がある石材店は、経験が豊富であり、各宗派や地域性などの多岐にわたる知識を蓄積しています。
営業年数だけでなく、その石材店の建立実績数も 検討する際の参考になります。
契約前に、その石材店が建立した墓石を実際に見せてもらうことも大切です。

『墓石』『石材の性質』『お墓の構造』について深い知識を有する石材店である
国産・外国産の多種類の石材の中でも、墓石に適した石材を使用することが大切です。
そのためには、各種石材の性質を十分に理解していなければなりません。
石質・お墓の構造について深い知識を有していることや、建立する場所の地盤に適した基礎工事や地域性を考慮した墓石を建立できるのは、長年の経験と、多くの建立実績がある石材店であれば間違えないでしょう。

各宗派についての、深い知識を有する石材店である
お墓の形や使用する石種に決まりはありません。
大切なことは、お施主様が後悔しない「納得」できる建墓ができることです。
しかし、各宗派にのっとった「お墓のつくり方」というものもあります。
これは、「墓相学」と呼ばれるもので、家を建てる時に「家相」にのっとって家を建てる場合と同じです。
墓相学にのっとって、正しいお墓のつくり方で建墓する場合は、お施主様の宗派にのっとったお墓のつくり方で建てなければなりません。
石材店は、お墓をつくり建てるというのが仕事ではありますが、宗派にのっとったお墓づくりをしたいとご希望されるお客様にしっかりと対応できる石材店の数は残念ながら非常に少ないのが実情です。
石材店選びの際に、事前に調べてから依頼するようにしましょう。

質問や要望に対して、丁寧に納得するまで説明をしてくれる石材店である
寿陵(生前にお墓を建てること)を除き、墓石を建立する場合は 大切なご家族を亡くされている場合がほとんどであります。
お施主様の気持ちを十分に理解し、「故人への想いを形にする」という建墓のお手伝いをすることが石材店の務めであります。
しかし、石材店としての利益を得ることが優先してしまい、お施主様の気持ちに寄り添うことができない担当者も実際にはいるようです。
お墓を建てるということは、ほとんどの方が初めての経験であり、たくさんの疑問や心配があって当然のことであります。
わからないことは、一つひとつ納得するまで質問をして解決するように努めましょう。
説明を嫌がったり、契約を焦らせたりする石材店は良心的な石材店とは言えません。
石材店選びこそが納得できる建墓をするポイントです。
後悔することのないよう、石材店選びを見直すことも必要でしょう。

店舗を構えている石材店である
建立者と石材店の代表的なトラブルの一つに、建立後に石材店との連絡がとれなくなってしまうということがあります。
一昔前は、お寺・知人から紹介された石材店や地元の石材店に建立を依頼するケースが一般的でした。
店舗や工場に出向けば、担当者の顔が見えて わからないことや心配なことも、直接会って相談にのってもらうことができました。
しかし、インターネットの普及により、電話やメールだけのやりとりで契約をしてしまうケースが増加した昨今、トラブルの一因となっているのは間違えありません。
店舗や工場を構えている石材店であれば、遠方であっても 建立した墓石を実際に見せてもらうことや担当者の顔を見て直接対応してもらうことも可能ですから、電話やメールでの対応であっても心配はないでしょう。

適正な金額を提示する石材店である
墓石の適正な金額が、いくらなのか?
日常生活の中では、なかなか比較する場面も少ないため判断は難しいでしょう。
墓石の価格は、使用する石種、使用する石材の量、加工の仕方、墓地の広さ、墓地の状況などにより決まります。
ご予算の中で、少しでも希望の石種や形で建てることができれば望ましいでしょう。
しかし、価格だけで判断をしてしまうと、後々 後悔してしまうことも予想されます。
なぜなら、墓石は、親から子、子から孫へと代々受け継がれてゆくものであり、長年にわたり 建立し続けるものだからです。
使用する石材の質や工事内容が悪いものであれば、後々修理が必要となったり、石材店との間でトラブルになる可能性も考えられます。
解決できるケースもありますが、悪質な石材店であれば長年営業していることは少ないため 最終的にはお施主様が泣き寝入りをせざるを得ないケースが多くなります。
「安かろう、悪かろう」では困ります。
まずは、その石材店が信頼できるかを一番初めに検討するべきです。
そして、できる限り正しい多くの情報を得て、判断しなければなりません。
いくつかの石材店で、相見積もりをとることも判断する際の参考となるでしょう。

契約書・見積書・図面をきちんと提示してくれる石材店である
良心的な石材店は、契約書・見積書・図面をきちんと提示します。
石材店は、墓石の形や各部の寸法を明記した図面をもとに 墓石を加工製作し、 現地(霊園や寺)で墓石工事を行います。
お施主様は、この図面を見て完成した墓石をイメージします。
また石材店は、使用する石材の種類・墓石の形・工事内容などをもとに算出した見積書を図面とあわせてお施主様に提示します。
契約時には、金額・納期・墓石工事の内容などを明記した契約書をもとに契約を交わし、双方で保管します。
墓石を建てる際には、お施主様は石材店に高額な代金を支払うこととなります。
口頭での決め事は、後々のトラブルの元になりますので、契約書・見積書・図面をきちんと提示する石材店を選びましょう。

他社との相見積りを快く快諾し、契約を急かせない石材店である
近年では、インターネットの普及に伴い、お客様自身が各石材店の墓石の価格を比較することが容易にできるようになりました。
予算内で、少しでも希望に叶った建墓をしたいと多くのお客様が願います。
実際に石材店に出向き見積りを依頼することもできますし、インターネットで検索した石材店に見積りを依頼することも可能です。
しかし、早く契約を決めたいとあせる石材店や、見積金額が適正価格(相場より高額で提示)でない場合は、他の石材店と相見積もりをとられることを嫌がる場合が多いようです。
良質な石材を使用して、適正な価格を提示する「良質な石材店」は、適正な見積り内容に自信があるため 相見積もりを嫌がることはまずありません。
石材店を選ぶ際の大きなポイントといえるでしょう。

建墓後の保証制度及びアフターフォローがしっかりしている石材店である
国民生活センターに寄せられるお墓に関するトラブルは非常に多く、2017年度では1300件を超え、葬儀に関するトラブルの2倍以上であります。
「御先祖供養のため 良いお墓を建てたい」という消費者の気持ちを利用して、『産地偽装』『加工偽装』『施工偽装』を行い「利益を得ようとする悪質石材店」が後を絶たないという現状がわかります。
お墓が完成して、お施主様に引き渡した後に起きるトラブルも非常に多いのが実情です。
良質な石材を使用し、しっかりとした工事がされていればトラブルが起きることはまずないといっていいでしょう。
しかし、万が一の場合のために保証がしっかりしているに越したことはありません。
建立後もしっかりと保証してくれる制度が整っている石材店に建立を依頼することは大切です。
悪質な石材店の場合は、長年にわたり営業することは少ないため、たとえ保証書が発行されていても保証されないケースも多々あることも事実であります。
保証書を発行するということは必須条件ではありますが、その石材店が信頼のおける石材店であるかどうかは、営業年数や建立実績、店舗や工場を構えているかなどを総合的に判断して、信頼できる石材店を選びましょう。

墓石工事を下請け業者に丸投げせずに、引き渡しまで責任を持って自社で行う石材店である
墓石の知識や工事の内容も把握せずに、墓石の「販売」だけを行い、下請け業者にすべて丸投げをする業者もいます。
建立後に万が一 不具合があった場合や、お客様から何かしらの要望があった場合でも、実際の墓地の場所すら把握できていない、完成した墓石も見ていないため、対応がスムーズに行われない場合もあります。
お客様にとっては、建墓は一生に一度の大事業であり、大切な御先祖様が眠る終の棲家であります。
墓石工事を依頼し、その後 完成してお引渡しをするまで、しっかりと責任をもって対応する、信頼できる石材店を選びましょう。

業界団体や地域組合に所属している石材店
石材業界の代表的な団体として、一般社団法人 日本石材産業協会や一般社団法人 全国優良石材店(全優石)があります。
この二つの団体は長年にわたり、しっかりとした活動を全国規模で続けてきた信用のおける団体と言えるでしょう。
またの〇〇県石材協同組合のような地域の業界団体もあります。

では、石材店を選ぶ際に、業界団体に所属しているか、所属していないかを判断の基準に加えた方が良いのか?
団体に所属しているからといって、絶対に大丈夫、安心だということは言い切れません。
しかし、業界団体に所属している石材店の大半が真面目に前向きに営業していることは確かで、信用のおける石材店が多いと言えるでしょう。
石材店を選ぶ際の判断の 参考にはなります。

喜んでいる顔

『失敗しない』『後悔しない』建墓のために

4.安価な墓石大丈夫なの?

墓石の価格は、使用する石材の種類・石材の量・加工方法・墓地の状況などにより決まります。
全く同じ内容で見積りをとっても、金額に大きな差がある場合もあります。
それは、墓石の価格に決まりがなく 石材店が自由に価格を決めることができるからです。
国産墓石の場合は、その差が大きくなる場合もあります、
では、なぜこのように金額に大きな差が出てしまうのでしょか?

その理由の一つとしては、石材店の経費があげられます。
広告宣伝費(CM等)や営業マンの人件費に多額な経費をかけているか場合は、どうしても売価に反映されてしまうこととなります。
また、霊園や寺院が指定石材店と締結している場合は、競争原理が働かないため 高額となるケースが多いです。
指定されている石材店が独占的に販売できるため、お客様は、指定石材店の提示した金額で墓石を購入することになります。
お客様自身が石材店を自由に選ぶことはできません。
墓石が高額となる他の理由としては、石材店がお客様に販売する過程の中で、中間業者をいくつも通す場合は当然のことながら売価は高額となります。
これらが、墓石の金額が高額となる主な理由です。
では、同じ内容で、安価で提供できる石材店は何が違うのでしょうか?

墓石の金額が高額になってしまうのには、上記のような高額なってしまう「理由」があるのと同様に安価で提供できるのにも「理由」があります。
石材店が中間業者を通さずに、原石加工から現地での据付工事まで一貫体制で行っているところは、中間マージンが発生しないため、当然 安価で提供できます。
要するに、業者へ納める同程度の価格、「卸価格」で一般のお客様に販売ができるということです。
また、大幅に広告宣伝費(CM)や営業マンの人件費をかけていない石材店も安価で提供することが可能でしょう。
お客様が墓石を建立する霊園や寺院に指定石材店がない場合は、石材店を自由に選ぶことができるので相見積もりをとることも可能です。
良心的な石材店は、適正な金額での見積りを提示します。
これらは、使用する石材の種類・石材の量・加工方法・墓地の状況が全く同じであった場合です。
「安価」で提供している石材店の中には、見積書や契約書に記載されている石材を使用しない悪徳石材店もいます。
また、基礎工事や据付工事においても、墓石が長年建立し続けることが不可能である工事をする(いわゆる手抜き工事)業者もいます。

このように、安価であっても、石の材質や工事内容に問題があり、被害に遭ってる場合もありますので墓石を建立する場合、「価格」だけで判断することは危険です。
安価である理由をきちんと理解できた上で、工事内容や後々の保証制度も考慮したうえで石材店を選ぶことをおすすめします。

『失敗しない』『後悔しない』建墓のために

5.お客様自身で出来るトラブル回避法

  • 墓地を選ぶ際に、指定石材店があるかを確認し墓石の値段もきいてみる
  • 石材店に出向き、店舗や工場を実際に見る
  • その石材店が建立した墓石を 実際に見せてもらう
  • 担当者に墓石・石材・構造について質問することでその石材店の知識の深さを知る
  • 同じ内容の見積りを他社からもとる(相見積もり)
  • 現場が近ければ、基礎工事に立ち会う

どのような材料を使い、どのような工程で工事をするのかを見る。見えなくなってしまう部分で はあるが、墓石の構造の中では、一番重要な工事となる。人間の体に例えると足腰の部分で、この基礎工事に手抜きがあったり、使用する材料(生コンや鉄筋など)、地震により、傾いたり倒壊する可能性が大である。

墓石の据付工事の際も、できれば実際に出向き見ることが大事。お墓は重たい石を積み上げたも の。地震の揺れには非常に弱い構造となっているため、地震対策が必要。積み上げた石の周囲をモルタルで目地だけをする業者も少なくない。
簡単にずれて倒壊してしまう。また、昨今では少なくなったが、石塔の中心をくり抜いて上から下(カロート)に向かって鉄の棒を差し込む施工をする場合もある。これは、契約前に確認する必要がある。地震対策とはいえ、仏様の眠る、カロートに向かって鉄の棒を刺すような工事は、墓相学上も非常 に良くないとされているため。時代の流れとともに、地震の揺れと墓石の関係も長年にわたり研究がすすめられ、現在では住宅と同じで『免震工法』を採り入れる石材店も増えてきました。
免震工法で施工できる石材店を選ぶことも大切です。

家族

親から子、子から孫へと代々受け継がれてゆくお墓。
お墓は、御先祖様が永遠に 安らかに眠り続ける「終の棲家」です。
建墓は一生に一度の大事業。
だからこそ、お施主様が心から納得できるものでなければなりません。
一人でも多くの皆さまが、「失敗しない」「後悔しない」建墓ができることを願います。

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